居心地の良い店

神保町へ行ってきました。
印刷会社の面接です。


面接の時間から30分も早く着いてしまって会社近くの日陰をうろうろしながら時間をつぶし、
20分前になったところで入ってみました。


面接自体は30分程度で終わってしまったのでお昼前にはフリーに、


「神保町に来たんだものねえ…」


前々から気になっていたうなぎ屋さんに行ってみるもののまだ準備中


それならば、と専修大交差点から道を一本入ってすぐにある
喫茶さぼうる に行ってきました


昔ながらの喫茶店といった感じで、
店の外ではマスターらしきおじいさんが草木に水をやっています


店内はちょうどいいくらいに薄暗くて、お客さんもひっそりと
アイスコーヒーなんかをすすっています
さぼうるの特徴はおつまみで落花生がついてくること、


小さな白い器にパラパラと落花生を入れていかにも給仕らしい格好をした店員さんが
メニューを聞きに来ます


ここへ来るお客さんは初めてではない、もしくは喫茶店に生き慣れたお客さんが多く、
席に着いたとたん、メニューは見ずに「アイス(コーヒー)」「ホットで」と
お気に入りの注文をしていきます


お気に入りの高田宏の本を読みながら、
周りのお客さんの様子や店員さんの他愛ない話をなんとなく眺めます


オープンサンドも食べ終わって再び本に向かう私に
店員さんが「サービスのゆずシャーベットはいかがですか?」と声をかけます
「あ、お願いします」


さわやかなゆずの香りが口の中にふわーっと広がってゆきます
もうすこし欲しかったかなあ、というくらいのちょうどいい量です


喫茶店の前を仲睦まじく手をつないだカップルが何組か通っていきます
どこか二人で涼む店を探しているようですが、
明るい表からちらちら店内をのぞいてしばらくその場で躊躇しているのですが
店には入らず去っていってしまいます


ここで無理に店に招き入れないところはいい店です
店の前で躊躇している間に店内からささーっと店員が出て来て
「どうぞー、いらっしゃいませー」と声をかけてくる店がしばしばありますが、
あれほど居心地の悪く、気まずい雰囲気になることはありません


迷っていてもそっとしておく、
すべてはお客さんにゆだねてくれるところは
気持ちよくそのまま店に入っていけます


そういうところにも店の品格は出てくるように思うのです