銀河ステーションにて

まだまだ日中は暑い日があったりするこの頃ですが、
それでも17時を過ぎるとしっかり夕闇が広がる季節になりました


私の地元は、言うまでもなく田舎なので
夜遅くに帰ってくると原始の闇があちらこちらに広がっていて
街灯のない道などは本当に怖かったりします


そんな夜更けに電車に揺られて帰ってくると、
夜の闇に車内の灯りだけがすべっているようで


少し離れたところから見ると
まるで宇宙に浮かぶ銀河ステーションのように
駅はぽつんと暗がりの中に浮いているのです





普段は一人で出かけることの多い私ですが
ここ数年で人と出かけるのもいいものだと思えるようになってきました


自分のペースで動けることは とても気持ちがいいけれども
人のペースに合わせて動くのもたまには悪くないということに気付きました


夏前に一度会った友人が
「そろそろごはんでもどうでしょう?」とメールを寄越して来たので
久しぶりに窓から黄色い電車を眺めることのできるカフェに行ってきました


「ごはんでもどうか」というので
なにか話したいことでもあるのかと思ったら


「ラボを辞めたって聞いたから、話さなきゃって思って」と言われ
わたしになにかあったのかと心配して声をかけてくれたのだと知りました


カフェでご飯を食べながら2時間ほど話し、
店を追い出されてから駅のホームでコーヒー片手に1時間くらい話しました





夜の電車というのは
わたしをゆるやかな気持ちにさせてくれます


人が家路につくための電車だからでしょうか


夜の駅を行き交う人は
疲れた顔をしていても
どこか優しい顔をしているように見えるのです


それは一日を終える安心感から来るのでしょうか





黄色い電車が夜の闇をすべっていきます
鉄橋を渡って川を越えると
そこはもう山を頂く小さな町です


街にもなれず
かといって本当の田舎にもなりきれない
そんな中途半端さをかかえた町は
この暗闇の中でアイデンティティを見失っています


そんな町であることも
そんな町に育ったことも受け入れながら


でもいつかはきっとそんなこの町を出て行こう


そう思いながら
今晩も闇に浮かぶ小さな駅を
ひとり、あとにするのでした