2016-01-01から1年間の記事一覧

眠るアジア -その10

ここまで、香港、ブルネイ、マレーシア、タイ、ラオス、ベトナムと回ってもちろん楽しかったのだが、いろんなことを考えて少し疲れてしまったので、最後は思い切りリラクゼーションに徹しようと決めた。台湾はいまや日本人が週末に訪れる人気観光地であるし…

眠るアジア -その9

ホーチミンも3日目になると、バスも使いこなせるようになり、屋台飯の注文にも慣れてきた。ホーチミンはよく雨が降った。だいたい夕方になると、突然スコールのような大雨が降り、途中降ったりやんだりしながら、2時間程降り続く。町の人たちは慣れたもの…

眠るアジア -その8

ルアンパバーンからラオスの首都ビエンチャンまでバスでのろのろ行ってみるつもりだった。しかし、ここまで2週間の間に、滞在することの大切さを感じ始めていた。 町に到着してからその町に慣れてくるまで少なくとも3日はかかる。それは交通手段を使いこな…

眠るアジア -その7

プーシーの丘は、ルアンパバーンでのお気に入りの場所だった。10分ほどでたどり着く山頂からは町が眺望できる。日中は入山料が取られるが、夕方5時過ぎから朝7時までの間は係員がいなくなるので、特に日没後の時間帯は地元の子供たちのたまり場となって…

眠るアジア -その6

一見動いていないようにも見えるこの濁った茶色い川は、チベット高原に源流を発し、6つもの国を通って海へと流れる。“偉大な川”の意味を持つ東南アジア最長の川、メコン川だ。 メコン川を挟んでタイと隣接するラオスの街・ファイサーイは、ゲストハウスと食…

眠るアジア -その5

チネ以外の家族は、英語が話せなかった。チネの話では、お父さんが少し話せるかもということだったが、実際には話せなかった。お父さんは、ずっと韓国へ出稼ぎに行っていて、6年前、タイへ帰ってきている。わたしとお父さんは今回が初対面だ。いまは、チネ…

眠るアジア -その4

わたしは寝台列車が好きだ。 これまでの寝台列車の記憶には、いずれもちょっとしたピンチがついて回るのだが、そのために印象的な乗り物として心に残っている。今回も何とか無事バンコクまでは辿り着けそうだ。途中の駅からは、同じくバンコクでテニスの大会…

眠るアジア -その3

今回の旅は、移動がテーマだった。これまでも、ひとりで海外を旅することはあったが、基本的にひとつの町にしか滞在していなかったので、町から町へ、国から国へと移動するのは初めてのことだ。それゆえに、タイ国境を目指す電車の中ではすでにクライマック…

眠るアジア -その2

当初はシンガポールへ行くつもりだったが、クアラ・ルンプル行きの方が安かったことと、どのみちシンガポール行きのチケットはクアラ・ルンプルで乗り換えが必要だったこともあって、始めからクアラ・ルンプルに行ってしまうことにした。 マレーシアに来た目…

眠るアジア -その1

1年2ヶ月に及ぶ長尺の仕事が10月末に終わった。それと同時に、わたしは無職になった。フリーランスで仕事をするということは、次の仕事を受けなければ無職も同然だ。 過去に一緒に仕事をした監督から、また一緒にやらないかと誘ってもらった。マネジメン…

夏休み子ども科学電話相談

『ドミトリーともきんす』を読み終えた翌朝、 ラジオから夏休み子ども科学電話相談が流れてきた。 今朝いちばん興味を惹かれたのは、 魚の年齢を知るには鱗を紅しょうがの汁に浸すとよいというもの。 自然科学に心躍る季節がやってきた。 毎年、この放送を楽…

キャンティの夜

数日前に、またひとつ歳を重ねた。 その日は仕事が遅くまであり、今日が誕生日だととくに誰にも告げることなく淡々と、 とはいえ自分の誕生日だということにうきうきしながら仕事をしていたのだが、 時計の針がまもなく0時を越えようという段になって、 やっ…

情けない話

年に数回風邪をひくのだけれども、病気の器が相当小さいのか、 風邪以上に大きな病気はほとんどしたことがない。 おととしに胃腸炎になったほかは、記憶が正しければインフルエンザもない。 そうしてまた優等生らしく、きっちり週末に罹って週末で回復するの…